さよなら先輩。無駄な二次会。
先輩が転職すると知ったのは、ゴールデンウィークが始まる3日ほど前のことだった。
人たらしの先輩は、誰からも好かれていた。
自分だけ仲がいいわけでは無かった。
別にいいけど。
先輩の別れを惜しんで激励会には沢山の人が来ていた。
上司同期後輩から慕われていた彼はどういう思いで、会社を辞める決心をしたのだろう。
そういえば半年ほど前、一緒に冗談でSPIの勉強をした事があったが、その時にはもう決めていたのだろうか。
一次会が終わると、いつのまにか二次会に行く車に乗せられていた。
僕には二次会のスキルが全くもって備わっていない。
カラオケ、ダーツにビリヤード。
知らない曲に笑顔で乗って、運動音痴を炸裂させて今まで何度も二次会には行かないと心に決めたはずなのに。
カラオケの部屋に、転職する先輩はいなかった。
隣でダーツをしているらしい。
何のための会なのかこの社員たちは理解しているのか?
数曲きいて、体調が悪いふりをして部屋を出た。
漫画コーナーに避難。
馴染む努力をするのをついに諦めた。
おススメされている漫画を読んで人生について考えることにした。
ドリンクバーのソフトドリンクにストローをさして、ブクブクと息を吹き込み、早く終われと切に願った。